Citations:梯子

Japanese citations of 梯子

1879, 福沢諭吉, 小学教育の事:

草(くさ)を刈(か)り、牛(うし)を飼(か)い、草臥(くたびれ)はてたるその子(こ)供(ども)を、また学(がっ)校(こう)に呼(よ)びて梯(はし)子(ご)登(のぼ)りの稽(けい)古(こ)か、難(なん)渋(じゅう)至(し)極(ごく)というべし。
Kusa o kari, ushi o kai, kutabire hatetaru sono kodomo o, mata gakkō ni yobite hashigo nobori no keiko ka, nanjū shigoku to iubeshi.
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1887, 二葉亭四迷, 浮雲:

ト言捨てて高い男は縁側を伝って参り、突当りの段梯子を登ッて二階へ上る。
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1891, 今村明恒, 地震の話:

當時二人とも木造家屋の二階にをられたので、下敷になりながら小屋組の空所に挾まり、無難に救ひ出されたが、階下にゐた家扶は主人夫婦の身の上を案じながら辛うじて、梯子段を登りつめたとき家は潰れてしまつた。
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1895, 坪井正五郎, コロボックル風俗考:

恐らくは木製の梯子或は蹈み臺の設け有りしならん。
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1896, 広津柳浪, 今戸心中:

店梯子を駈け上る四五人の足音がけたたましく聞えた。
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1898, 徳冨蘆花, 小説　不如帰:

頭上に輝く名利の冠を、上らば必ず得べき立身の梯子に足踏みかけて、すでに一段二段を上り行きけるその時、突然蹴落とされしは千々岩が今の身の上なり。
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1899, 幸田露伴, 知々夫紀行:

およそ一町あまりにして途窮まりて後戻りし、一度旧の処に至りてまた右に進めば、幅二尺ばかりなる梯子あり。
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1900, 国木田独歩, 郊外:

下は物置で、土間からすぐ梯子段が付いている、八畳一間ぎり、食事は運んで上げましょというのを、それには及ばないと、母屋に食べに行く、大概はみんなと一同に膳を並べて食うので、何を食べささりょうと頓着しない。
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1902, 正岡子規, 病牀六尺:

その幕を張つて居る方の一人は下に居つて幕の端を持ち、他の一人は梯子に乗つて高い処に幕をかけて居る。
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1903, 泉鏡花, 薬草取:

私は新しい着物を着せられ、娘は桃色の扱帯のまま、また手を曳いて、今度は裏梯子から二階へ上った。
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1904, 河口慧海, チベット旅行記:

私も続いて家へ入りますと「どうかまあ久々の事ですからむさいところではありますがお上り下さい」といいますから主人に従って家に通りますと、なかなか小ざっぱりとした立派な商法家で、二室ばかり向うに抜け梯子段を上に昇り、その人の本堂の室へ着きました。
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1905, 押川春浪, 南極の怪事:

梯子の中段に立ち止まって余は耳を澄ます事少時、ここより上に昇るべきか昇るまじきか、甲板上になお海賊おらば、余はただちに殺されん、されど甲板上の光景を見ぬうちはどうも安心できず、余はついに意を決し、殺さるる覚悟にてふたたび昇り始めぬ。
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1906, 石川啄木, 雲は天才である:

同時に梯子段を踏む騒々しい響がして、声は一寸乱れる。
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1908, 夏目漱石, 坑夫:

自分は梯子の途中で、首を横へ出して、下を覗いた。
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1909, 長塚節, 開業醫:

梯子段からのぞいて先生のランプが消えると其時すつと拔けて塀を乘り越えて出て行く。
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1910, 岡本綺堂, 思い出草:

半鐘の火の見梯子というものは、今は市中に跡を絶ったが、私の町内――二十二番地の角――にも高い梯子があった。
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1911, 高浜虚子, 子規居士と余:

余は二階の六畳に寝転んで暑い西日をよけながら近松世話浄瑠璃や『しがらみ草紙』や『早稲田文学』や西鶴ものなどを乱読しているところに案内も何もなく段梯子からニョキッと頭を出したのは居士であった。
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1912, 森鴎外, 鼠坂:

そして女中の跡に附いて、平山と並んで梯子を登った。
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1913, 徳田秋声, 爛:

お増は浅井に済まないような、拗ねて見せたいようななつかしい落着きのない心持で、急いで梯子段をあがった。
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1914, 永井荷風, 江戸芸術論:

その一は桜花爛漫たる土塀の外に一人の若衆頬冠りにあたりの人目を兼ねて彳めば、土塀にかけたる梯子の頂より一人の美女結び文を手に持ち半身を現はしたり。
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1915, 芥川龍之介, 羅生門:

すると、幸い門の上の楼へ上る、幅の広い、これも丹を塗った梯子が眼についた。
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1917, 葛西善蔵, 贋物:

彼は二間ほどもない梯子を登り降りするのに胸の動悸を感じた。
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1918, 豊島与志雄, 蘇生:

するとまた新たに梯子段に弱い足音が聞えた。
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1919, 久米正雄, 良友悪友:

私は嬉しさの余り、二段づゝ急いで梯子段を上つた。
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1920, 島崎藤村, ふるさと:

さういふ岩や石の多い峠の上に出來たお城のやうな村ですから、まるで梯子段の上にお家があるやうに、石垣をきづいては一軒づゝお家が建てゝありました。
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1921, 横光利一, 父:

鶏小舎の縄を巻きつけた丸梯子の中程を、雌鶏が一羽静に昇つてゆく。
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1922, 大町桂月, 水戸觀梅:

梯子飮みの蝶二、獨り舟中にて飮み、獨り醉ひて獨り元氣なるにひきかへ、天隨悄然として溜息をもらせるは、歡樂きはまりて哀情多きにや。
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1923, 田中貢太郎, あかんぼの首:

二階の狭い書斎で海軍省方面の翻訳をしてゐる夫の所へ行くには、きつい梯子段を上がらねばならんし、夫を傍へ来て貰はうとすれば手を鳴らして女中を呼ばねばならなかつた。
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1924, 牧野信一, 明るく・暗く:

照子は、足音を気兼ねしながら梯子段を降りて行つた。
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1925, 細井和喜蔵, モルモット:

小さな動物は、朝彼女が梯子段を踏んで帰って来るとキイキイキイッと大声をあげて迎えるようになった。
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1926, 岸田國士, 村で一番の栗の木（五場）:

軽便一時間半、馬車一時間、谷を下り、坂を上ること二十分、橋を渡ること二度、梯子段十七段、門から玄関までざつと十間、廊下二十歩、それでやつと座敷へ通ると、おやぢとお袋の口上が短く見積つて滔々十五分、着物を着替へて風呂へはひり、昨夜は寝てないからと言つて一休みするまで、なかなか暇がかかるぜ。
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1927, 北原白秋, 日本ライン:

烏帽子岩、風戻、大梯子、そこでこの犬帰の石門、遮陽石といふのださうな。
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1928, 杉田久女, 大正女流俳句の近代的特色:

の如きも一枚のかるた札がはね飛ばされて梯子段を勢いよくおちてゆく瞬間の写生で有る。
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1929, 小林多喜二, 不在地主:

武田が股梯子をもって来て、皆から見える高いところへビラを張りつけた。
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1930, 下村千秋, 天國の記録:

そして梯子段を上り下りするだけで、息が切れるやうになつた。
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1931, 嘉村礒多, 滑川畔にて:

私が上から聲をかけると、ユキは鐵板の急な梯子を半分あがつたあたりで、足に痙攣が來て立ち竦んだ。
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1932, 佐々木味津三, 流行暗殺節:

それを合図のように、バタバタと、けたたましい足音が、梯子段を駈けあがった。
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1933, 徳田秋聲, 和解:

ちやうど二段になつてゐる三階の段梯子を登りきつたところで、そこの天井裏の広い板敷の薄闇黒に四十年輩の体の小締めな、私の見知らない紳士と、背のすらりとした若い女と、ひそひそ立話をしてゐるのに出会した。
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1934, 森本薫, みごとな女:

真紀　昨日はお天気だったが明日は雨だろう、とか、家の二階の梯子段は十二段だけれどあんたんところは何段ですって話だの、そんな話ばかりかい。
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1935, 太宰治, 道化の華:

庭のすぐ北方には、赭土のたかい崖がそそり立つてゐて、それへせまい鐵の梯子がいつぽんかかつてゐるのであつた。
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1936, 矢田津世子, 神楽坂:

梯子段のところまで爺さんを送っておいて店へひきかえした。
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1937, 酒井嘉七, 京鹿子娘道成寺:

この梯子段を昇り切ると、ずっと、廊下になっておりまして、その両側に楽屋部屋が並んでいるのでございます。
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1938, 野口雨情, 札幌時代の石川啄木:

廐の屋根裏には野梯子が掛つてゐる、薄暗い中を啄木は、『危険いから、危険いから』と言ひながら先に立つて梯子を上つてゆく、皆んな後から続いて上つた。
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1939, 萩原朔太郎, 宿命:

狹く暗く、トンネルのやうになつてる梯子段を登つて行くと、急に明るい廣闊とした望樓に出た。
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1940, 田中英光, オリンポスの果実:

ぼくも、杏の実を握りしめ、くるくると鉄梯子をあがって、頂辺のボオト・デッキに出ました。
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1941, 野上豊一郎, ヴェルダン:

あれを売ってくれないか知らと弥生子がいい出し、車を停めショファに懸け合わせると、やろうというので、銀貨を二つ渡すと、親爺も娘も梯子から下りて、食いきれないほどたくさん籠に入れて持って来た。
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1942, 中島敦, 光と風と夢:

緑酒と脂粉の席の間からも、其の道が、常に耿々と、ヤコブの砂漠で夢見た光の梯子の様に高く星空迄届いているのを、彼は見た。
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1943, 徳永直, 光をかかぐる人々:

マストのてつぺんに幾條もの旗じるしをなびかせて、マストは蜘蛛の巣のやうに綱梯子がかかつてゐる。
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1946, 海野十三, 四次元漂流:

そこには非常用の梯子がついていて、この三階から中庭にまで通じていた。
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1947, 原民喜, 夏の花:

河岸に懸つてゐる梯子に手をかけながら、その儘硬直してゐる三つの死骸があつた。
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1948, 坂口安吾, 出家物語:

私ゃ、ふとってビヤダルみたいだが、毎日自転車で十里ぐらい駈け廻って買ったものを売りさばいて、屋台の支度もして、仕事がすんで一パイのんで、梯子酒して、虎になって、それで、お前、手筈一つ狂わねえや。
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1949, 神西清, 死児変相:

あとはもう無我夢中で、暗がりの梯子段をよくまあ踏みはづさなかつたと思ふくらゐ、下の座敷へ飛びこんでみると庭の雨戸はいつのまにか一枚のこらず外され、おやもう夜が明けるのかしらと思つたほど明るかつた。
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1950, 折口信夫, 日琉語族論:

昭和年代に入つても、沖縄本島でまだ見かけた梯子の古風なものは、太い一本の柱に、足がゝりとなるやうに、鉈でゑぐつて間隔をつけた、一本梯子といふべきものであつた。
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1952, 正岡容, 艶色落語講談鑑賞:

第二席は、その猫が一日、赤貝に手を挾まれて困り、カタコトと音立てて挾まれたままで梯子段を上っていくと、二階にいた耳の遠い婆さんが「誰や、下駄履いて二階へ上がるのは」。
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1953, 片山廣子, 北極星:

ゆめをみるやうな気持で、空の無形の梯子をのぼりのぼり、やがて北の果の空の大熊星とよばれる星まで来た。
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1956, 小金井喜美子, 鴎外の思い出:

そう言われて気を附けて見れば、土間から梯子がかけてあります。
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